『自動運転車両を活用した移動支援実証実験』報告書を公表
『町田木曽住宅地域』自動運転レベル2で高齢者移動を支援
──JKK東京──

2023年5月16日(火)
 JKK東京(東京都住宅供給公社/東京都渋谷区)と国立群馬大学(前橋市)では、高齢化が進む郊外型の団地における将来を見据えた移動支援サービスの検証を目的とした「共同研究契約」を締結。このほど、令和4年9月に実施した『町田木曽住宅地域(東京都町田市)』における、自動運転車両を活用した実証実験の結果報告書を公表した。(2023年5月15日)

 郊外型の『JKK住宅』では、入居開始から40年以上が経過し、同時期に入居した世代が一斉に高齢化。特に大規模な団地では、各住棟から団地内の商業施設やバス停留所等までの距離が遠く、移動が難しい高齢者の外出を控えさせる要因となっているなど「距離のバリア」とも言える状態を生み出しており、団地内における外出機会の創出が課題になっているという。

『JKK』初の試みとなる今回の実証実験では、高齢者の移動を自動運転車両(自動運転レベル2)によりサポートするとともに、買い物で購入した日用品等の配送や外出のきっかけとなるイベントの開催等により外出の支援を行い、郊外型団地における「距離のバリア」解消に向けた課題の洗い出しと検証を行なった。

[実験概要]の一部抜粋

・実験期間:令和4年9月22日(木)〜10月5日(水)(計14日間)

・実施場所:町田木曽住宅地域(町田市木曽東4)

・運行実績:運行件数111件 乗車人数206名

※安全性を確保するため、常にドライバーが車両に搭乗し、緊急時等に直ちに必要な操作を実施

 なお、報告書の結果概要では、「郊外型団地」において自動運転車両による移動支援サービスを行うためには、以下の「3点」の課題解決が必要であるとされた。(報告書をそのまま引用)

(1)走行の安全性の確保

・一般公道を含む非閉鎖空間における自動運転技術は、まだ発展途上の段階にあり、完全無人による走行が可能となるには、更なる技術的な革新が必要。

・昭和40年代に建設された郊外型の団地は、通路の幅員や段差などが自動運転車両の運行に適さない設計となっているため、運行に適したインフラへの改修が必要である。

・移動に困難を抱える高齢者等が自動運転車両を利用することを想定した安全な運行体制の構築が必要。

(2)事業性の確保

 利用者の希望する運賃水準では事業性の確保が難しいため、運行にかかるコストの低減や生活支援サービスとの連携などの対策が必要。

(3)地域交通全体の在り方に関する行政の関与

 既存公共交通との役割分担など、地域交通の全体のあり方について自治体の関与も含めた議論が必要。

 

 報告書では、前記(1)〜(3)の課題を解決するまでの方策として、『JKK』は「地域におけるデリバリー機能及び団地コミュニティ機能の強化並びに高齢者が移動困難な状態にならないための「フレイル予防」の取り組みなどが必要であると考え、これらに関する検討と取組を行なっていきます──」としている。
[みまもりプレス編集部]